今、早池峰に何が起こっているのか?



高山植物の盗掘跡

高山植物の盗掘跡

   高山帯近くの小田越の車道の開通、近年の百名山ブームなどで近年の登山者は急増。減少傾向にあるとはいえ、年間2万2千人もが訪れています。もともと崩壊しやすい地質の登山道は年々広がり、植物も減少してきています。現在は、小田越付近の駐車禁止、夏山最盛期の土日祝日のマイカー規制などの対策がとられています。

盗採などによる自然への影響
 貴重な高山植物の盗採・盗掘は毎年のように報告されています。プロによる組織的なものから出来心のものまで、れっきとした犯罪行為です。容易に高山帯へ入れないようにする道路規制や厳しい罰則を含めた保護条例の制定などが考えられています。
 また、登山者や車によるセイヨウタンポポなどの平地の植物の侵入、車道を開設したことによる車道沿いの木々の立ち枯れ被害も深刻な状況です。さらに早池峰の肩を横切り、クマタカやイヌワシなど貴重な野生動物の生息地域を分断する、大規模林道・川井〜住田線の工事も現在進行中で、波紋を投げ掛けています。

山頂非難小屋

携帯トイレ

ボランティアによるくみとり作業
山頂非難小屋

携帯トイレ

ボランティアによるくみとり作業

山頂のトイレの維持管理
 早池峰山頂の避難小屋にあるトイレの維持や環境への影響が問題となっています。老朽化やし尿の垂れ流しが環境に重大な影響を与えるとされ、そのあり方については自然保護団体と県の間で数年にわたり検討されてきました。
 1986年に設置された早池峰山頂避難小屋のトイレは老朽化が進み、し尿の水分は地下浸透、固形物は見えないところへまき散らすなどの処理方式により周囲の自然環境への影響が懸念されていました。そこで見るに見かねた登山者達が1993年からボランティアでトイレのくみ取り、担ぎ下ろしを開始。1999年には自治体、有識者、自然保護団体など13人により構成される「早池峰地域保全対策懇談会」(座長・小野泰正岩手大学名誉教授)が開催され、以後、トイレのあり方をはじめ、早池峰の直面する問題についての議論が続けられてきました。その間も、関係者は担ぎ下ろしを毎年実施。携帯トイレの配付と使用の呼びかけなど、活動を地道に続け少しずつ成果をあげています。
 保全懇は2001年に「○10年後の避難小屋耐用年数までは現トイレ施設を補修して使用○小屋内に携帯トイレ専用個室を設置○ボランティアによる担ぎ下ろしを継続させる」という最終案をまとめ県に提言しました。担ぎ下ろし方式は全国にも例をみないことを評価し、それが選択されたのは、ボランティア達の熱意と、携帯トイレ普及活動によるし尿量の大幅減少が大きな要因となっています。